真鶴で現在も採掘されている日本有数の銘石である本小松石の石粉を使った焼き物に挑戦した。
胎の一部としても使えるし、釉薬としては「来待石」「芦沼石」にも匹敵するような素晴らしいポテンシャルを持っていることが判明した。
くわしくは陶遊139号(2013年11月号)に本小松石のやきものへの利用(本小松石陶遊記事)として寄稿されている。
(内容の抜粋)
本小松石の陶芸材料への利用 陶研究会 萩原 茂樹
1. 胎として本小松石を使うには
本小松石の切断時に出る微粉末を胎として使う場合、単味では粘りと腰がなく作陶しにくい。
また単味での耐火温度は低く、通常の高火度焼成は難しい。
従って高火度焼成する時は、他の耐火度のある可塑性粘土と混ぜて使う必要がある。
混合割合は本小松石を最大で40%程度(重量比)である。
各種の市販粘土に本小松石を加えて作品をつくってテストしてみた。
信楽土(並こし)を10に対して本小松石を3加え、混合した土を還元焼成したところ柿釉の発色を得た。
2. 釉として本小松石を使うには
本小松石に長石と石灰を加えた三成分系で、焼成テスト(1230℃)したところ、いろいろな鉄釉が得られることがわかった。
単味でもよく熔けて高火度釉としても使えることが予想できた。
文献では本小松石の化学組成は鉄分の含有量が6%で、含鉄土石として焼き物によく使われる来待石や芦沼石と似ていることがわかった。
また夫々のゼ―ゲル式から、Al2O3/SiO2、アルカリ分KNa-CaO-MgOの成分比を比較しても酷似している。
インド長石-白石灰-本小松石系の三角図によるテスト結果を基に、来待石や芦沼石を使った釉薬の調合例を参考にして、伝統的な鉄釉の調合割合を決めた。最高焼成温度は1230℃
天目釉(OF)、飴釉(RF)、油滴天目(OF)、柿釉(RF)、伊羅保、鉄錆釉